ご主人様の喜びは、奴隷の喜び
ご主人様は私が作ったクッキーを気に入ってくれて、
うまい、といっぱい食べてくれます
嬉しくて、作っているときから、喜ぶお顔を思い浮かべてしまいます
米粉でさっくり焼き上げるから口当たりが軽くてコーヒーとよく合うけど、
酒飲んだときに、いっぱい食べちゃうんだよね…
と、照れながら言うところが好きです
はじめてご主人様のためにクッキーを用意した時
調教のあと、渡したかったけれど
恥ずかしかったのと、もしかすると甘いものは控えているのかな…と不安で
ぐずぐずしていたら渡せないままお別れになってしまって
バッグの中にこっそり入れておくのが精一杯でした
喜ぶお顔が見たかったな…
奴隷になりたてで、とにかく緊張していたから
家についたご主人様がすぐに連絡してくれました
「鞄の中にクッキー、入ってた。
おまえは、ほんとに…。
このクッキー食べると勇気が湧いてくるな…。」
メッセージを読んだとき、そんなに喜んでくれたんだって涙が溢れました
さっき会ったばかりなのに、もう会いたい…
ご主人様と同じ想いを感じたくて
ひとくち、クッキーをかじりました…
あまい恋の味がした気がします
主従の絆
大きなパンダのぬいぐるみの前で待ち合わせ
私が方向音痴だから…
わかりやすいところにしてくださいます
ご主人様を見つけたけど、私には気づいてないみたい…
腕にぎゅっとしがみつきました
私の顔を見て、ホッとしたような表情をされるから
心があたたかくなりました…
お弁当を持ってきたから木の根元に並んで腰掛けます
土の上はひんやりして、見上げると鳥の家族が
仲よさげに木陰で涼んでいました
ご主人様はおにぎりと玉子焼きを「美味しい」と言いながら、
あっという間に平らげてくれて、もっと作ってくれば良かったなと思いました
ホテルの広々したベッドにごろんと転がると
もう、ふたりっきりの世界でした
キスしてほしいな…と思ったけど、ご主人様がしてくださるまで
そっと寄り添って、抱き締められる悦びや
飼い主の胸の鼓動に耳を澄ませていました
疲れている様子で心配です
腰を揉んであげると気持ちよさそうな寝息が聞こえました
首と肩の周りもかたく張ってて
ご主人様のいろいろを思って胸が痛みます…
私の膝枕でくつろぐお顔を見てたら幸せだなぁと思って
でも、なんだかご主人様の目が潤んでいるように見えたから…
かわりに、私の目から涙がぼろぼろ溢れました
「俺はナイーブなところもあるけど、開き直ると強いから。」
大丈夫、大丈夫と髪を撫でてくれました
私を慰めながら、自分の心も撫でているようで
そして、自分にいいきかせているような口調で…
まるで一心同体のよう
この主従は、尊い…
