自分のM性と向き合おうとしていた。
調教される自分。
主の色に染められていく自分。
奴隷に堕ちようとしている自分。
女として、性のこと、マゾの部分を抑えられない葛藤の中で流されていく自分への不安。
ずっと自分のM性と葛藤してきた。
奴隷になりたいとどこかで感じていた、という。
縄の味を知りつつあった。
ずいぶん昔のことだけれど、美雨の調教がが少し進んだ時のこと。
少しずつ深くなるSM調教
裸になることを命じた。
静かに生まれたままの姿になっていく。
恥ずかしさしかなかったけれど、やがて、見られながら脱いでいくという行為に体が反応する。
そして、心も裸になっていく。
これから自分の体を飼い主に捧げ、意のままに扱われ、昂らされ、焦らされ、いかされる。
いじめられ、かわいがられる。
それらを思いながら脱ぐ。
だから、Mらしく、哀愁がある。
縄を手にして、「どうするんだっけ？」と聞く。
美雨は、教えられたとおりに、背中を向けて正座で、両手を背中で組んだ。
受縄のポーズ。。。
俯いたうなじが細く、哀しい。
縄をください、と言わせると声は掠れた。
縛られるのは、縄に抱きしめられることだ。
高手小手、胸縄、腰縄から股縄。
体の自由を奪われたことで、あきらめのようなものが起こる。
されるがままの自分。
体を飼い主の意のままに使われる被虐。
すべてを委ねる安堵。
性奴隷として扱われ、弄ばれる羞恥と期待。
ゆっくり縛る。
SMは間合いが大切だと思う。
主の前で服を脱ぐのは、普段の日常からもうひとりの自分の時間へのシフトだ。
縛られるのは、服を着た生きていくための仮面の日常から、Mとして奴隷としての自分へのスリップだ
SMのあまさやせつなさを感じはじめる、マゾ奴隷への一歩。
縄に縛められ、横すわりで私の足元でうずくまる姿が、はかなく、控えめの色気を帯びはじめていた。
少しずつ、肌に縄がなじんできていた。
はじめは、みじめさと羞恥しかなかった。
調教が進むと、縛られる自分と向き合うようになる。
縄の感触で濡れるようになる。
縛られ、鞭や快感や焦らしを与えられることを、体が覚えはじめる。
だから、縄の味を教え込むために、ゆっくり縛る。
あえて縛らずに、首輪をかけて、恥ずかしいポーズを命令するとき、縄が恋しくなる。
縄を体が求めるようになる。
縄で感じるようになった自分、ご主人様の色に染められていく自分、奴隷に堕ちた自分、愛されている自分を思い、せつなくなる。
それが調教だ。
M性とは持っている部分と開発する部分とある
髪に触れ、頬をさすり、唇を親指でなぞる。
耳を甘噛みする。
乳首と女に触れず、腰のラインや肩をさすると眉を寄せた。
女や胸への刺激を体が求め始める。
なにもしないから、縄の感触に、肌が敏感になる。
縄が体を責めさいなむ。
そこが熱く痺れてくる。
なにもされないのに、子宮が熱くなる。
それが、縄酔いだ。
Mにしかわからないステキな時間。
M性とはもともと持っている部分ともうひとつ、調教していく中で開発され、育っていく部分とある。
もともとのM性が求めるのは凌辱やみじめさや不条理だ。
被虐の悦びやあまさやせつなさ、羞恥、安堵、平安、感動は調教してMとして覚醒して、わかる。
もともと持っていたものが開放され、癒され、深くなる。
M性を持っているのはステキなことだろうと思う。
ノーマル人が感じることができない部分を感じることができる。
縄をなんども受けていると、縄に自らを委ね、こころが安らぐ。
縄の味を知るサブミッシブな女性は、哀愁がある。
性奴隷という生き方
縄酔いのあまさのあとは、被虐を与える。
鞭の後の飴は、あまい。
そのための、鞭。
そのための、お仕置きのポーズ。
ああ…と哭いて、後手縛りの状態を、静かにさげていく。
頭と肩を床につき、尻を持ち上げる。
従順に従う仕草は、飼いならされたペットのようだ。
もっと尻を突きだしなさい。。。
足を開きなさい。。。
「捧げるようにしなさい」と言ったとき、はじめて言葉で果てた。
縛られ、尻を家畜のように鞭で叩かれる。
颯爽と生きているふだんの自分とのギャップ。
羞恥を与えられることで、女として妖しく疼くということを覚え始めていた。
打たれながら、みじめなのに、どこかあまずっぱい。
打たれている尻が温かくなり、鞭を使われると子宮に響く。
鞭を止め、女を刺激する。
やっと与えられた指のねぶりに、鞭で昂ぶらされた女はねっとり受け入れる。
そしてまた打たれる。
鞭と飴を交互に与えられ、翻弄される。
体と心が制御できなくなってきて、それでも赦されない。
もうどうなってもいい。
調教されたいMの部分が覚醒して、開放され、屈服する。
支配されたいと感じるようになる。
こころから服従したい。。。
所有され、管理される自分になりたい。
奴隷として扱われ、仕え、そして愛されたい。
そうして、美雨は奴隷に堕ちる。
仕事や生活や夢の人生に、もうひとつ、別の自分が加わる。
性奴隷として、時に飼い主が望んだ時は、恋人のように接する。
主従関係は、深い。
飼われていて、管理されていて、所有されていて、恋していて、愛されている。
自分のほんとうを、普段は隠している部分を認め、見ていてくれる主がいる。
M女性には、M性のない人にはわからない悦びがある。
鞭を許して、ベッドに仰向けで横たえた。
潤んだ瞳。
少し開いた唇。
かすかな喘ぎ。
乳首は上を向いていた。
女はぷくりとかわいく膨らんでいた。
胸の下が、ぎゅっと締まった。
征服したいと強く思った。
「足を大きく開いて見せなさい」
ああ……と哭いて、Mの形に開いて目を閉じた。
横顔が艶めいていて、どこか柔らかい。
犬が飼い主に服従を示すように、無防備な白い腹が波立っていた。
足の間はかわいらしく濡れて繊毛が膨らみに張りついていた。
濡れているのを見られるから足を閉じようとして、それでも命令を守ろうと、自らまた開いた。
いい子だと褒めると、開放のように体を波打たせた。
鞭の後は飴を与えられることを体に覚えさせる。
内腿を筆でそっとなぞると、昂らされ、焦らされ、いかされることを知って、少し深い、ため息のような喘ぎ方をした。
「いじめてください」と言わせ、「「かわいがってください」と繰り返させ、「いかせてください」と哀願させた。
汗で光った体は妖しくくねり、人魚のように、大きく跳ねた。
