一緒にいたのはずいぶん前のことだ。
ケーキが食べたくなって買ってきたと部屋に入ってきた。
私はパソコンで仕事をしていた。
バタバタと入ってきたとき、空気が動いた。
冬の匂いがした。
じゃれつくかわいい女の子
いきなりしがみついてきて、「寒かったあ、コーヒー飲もう」とはしゃいだ。
お湯を沸かすねといいながらジャンパーを脱いだセーターが女の子らしくてかわいくて、Gパンが大人びているた。
コーヒーの香りがして、ケーキをあけて、どれにしようか迷ったとか、どっちがいいとか無邪気で、ほっこりする。
胸の奥の孤独が少しずつ溶けていく。
パソコンを片づけて皿にケーキをのせてコーヒーが運ばれてきて、「食べよう、食べよう」とおおはしゃぎでまた抱きついてきた。
ハグして頬を合わせるとまだ少し冷たい。
服の上から体をさすっていたわって、肩をさすって、両手を背中に組ませた。
縛られながらおでこを私の胸にあずけてはにかんだ表情をした。
両手を背中で縛り、フォークで食べさせてはコーヒーを口に運んだ。
ケーキはあますぎなくてちょうどいい。
フォークですくって口元にもっていくと、唇を「あ」の形にする。
口に含んでフォークを引く時「う」の形になる。
唇についたクリームを指でとると指を口に含んでそれを舐めとる。
舌の柔らかさと温かさが指に伝わって、しばらく舐めさせる。
ペットに餌を与えるように、小さな子に母親がご飯を食べさせるように、ケーキを食べさせてコーヒーを飲ませていると、理子はMの表情になっていった。
委ねることで孤独から解放される。
それはいっしょにいる時だけだけれど、ひとりになっても強くいられるようになる。
生きてりゃいろいろある。
辛いときも苦しいときもある。
MはMの部分をもてあまして悶々とするときもあるだろう。
苦しくても生きていかなきゃいけない。
もし自分に絶望してどうでもいいなら苦しまない。
そうじゃないから、それで何かにすがりたくなってそれがご主人様だったりする。
それは自分自身の癒しにいつかなる。
けどそれは思いでになってからだ。
今は、ただ委ね愛し合えばいい。
支配されている、飼われている奴隷の時間は癒しになって、新たな一歩が始まる。
それがSとMだ。
ケーキを食べながら、せつなげにする姿をみながら、奴隷としてもう少し躾けようと思った。
食べ終えて服を脱がせた。
自分で脱がせた。
縄を持つと、いつものように正座で後ろを向いて両手を背中で交差させた。
両手を縛り、胸の上下に縄を廻して、縄を連結させて首に廻し、菱縄をした。
じっくり縛るときは、そのままでじっと体をみられたり焦らされることを理子は知っているから、縛られながら小さく喘いだ。
そのMらしさにぞくりとする。
いつも一生懸命頑張っている。
今は奴隷のあまい時間だ。
腰にひと回りさせて、へそのところで一度結んで下に垂らすと、いやあと哭いた。
股縄は苦手で、苦手というのは躾けるための調教になる。
コブを作って、女とアナルにあたるようになんどか結びなおす。
膝立ちで足を開いたままで、私の手の動きをじっと見ている。
目を合わすと、すっと目をそらしてまたちらちらとみる。
そんな仕草を感じながらグイッと縄を絞ると、せつなく喘いだ。
後できっちり締めて、女を開いてコブを沈ませる。
膨らみが、コブを両側から挟むようにすぼまる。
豆に縄があたり女にこぶが埋まり、アリの戸渡とアナルのコブがM女を素直にさせる。
座禅ころがしで放置のしつけ
あぐらをさせて足首を縛り、両膝を括って背中に廻して足が閉じないようにした。
仰向けにすると座禅転がしになる。
女の子が座禅転がしになると、とても大人っぽく女らしくなる。
調教される女としての雰囲気がいい。
暖房を強くして寒くないか聞いた。
タオルで猿ぐつわをその時はした。
さしだすような無防備な女が膨らんでいる。
縄が厳しく食い込んでいる。
鼠蹊部をなぞり、縄を押し込んだりひっぱったりして昂ぶらさせる。
「辛抱できるね?」
おでこにキスしてそう聞くと、コクコクとうなづいた。
目が潤んでいた。
それで外にでた。
放置はあまくせつない調教だ。
縛られたままで、いろんなことを感じ、思う。
恥ずかしい姿勢で縛られたままの自分。
縄の刺激を肌に感じて、縛られている自分をいつもより強く感じる。
股縄が少しずつ聞いてきて、弱い刺激がいつまでも続いて、腰を動かして刺激を求めても中途半端なもどかしい刺激しかない。
それを繰り返しながら、体は熱くなってきて、いつまでこうされているかわからない。
躾けとしてそうして調教されていることに奴隷の自分を哀れにも思うし愛しいとも思う。
そして放置はM女をM女らしくするし、従順にする。
奴隷の悦びは従属することだ。
体をさしだして、所有され、縄に慣らされ、飼い主の好みに躾けられて、順応していく自分をマゾとしてせつなく思うことだ。
はじめてだから、数時間で戻った。
何をしていたわけでもない。
海を見てただけだった。
縄との時間を与えただけだ。
私を見上げるように潤んだ瞳をみたとき、どんな願いでも叶えてやりたいと思った。
しあわせにならないと絶対いけないと思った。
いつかその時がきたら祝福してそれを受け入れようと強く感じた。
それまではこの子は私のものだ。
いい子だいい子だと抱きおこしてハグするとひくひくと少し泣いた。
体が熱い。
自分の体をもてあまして、昂ぶったままの状態はMの悦びのひとつだ。
その後の解放は、体が飛んでいくような大きな快感になる。
縛られてただ見られるという調教
もう少し調教がある。
猿ぐつわを外してキスをした。
唇を舌でなぞると、そのままじっとしている。
舌を入れるとそれを受け入れるように吸い、からめる。
口を離すと躾けたとおりに素直に舌をだす。
奴隷の受け身のキスを守った。
股縄を外すと、赤ん坊のようにされるままに体の力を抜いた。
そのままで座椅子に縛りなおした。
足首を引っぱり首に廻す。
腰を前にずらすと、女とアナルがはっきり見えた。
濡れて光っていて、豆がかわいくでていてこの子を支配しているのは自分だと震えるような感動があった。
そのままでなにもしない。
胸が苦しくなってきて、缶ビールを冷蔵庫からだして飲んだ。
見られていることをただ意識している。
奴隷として、飼い主に感じている女を晒していることにじっと耐えている。
”見られている”から、”見てもらっている”という感覚に変わっていく。
その変化は体の変化でわかる。
何もしないでも、びくっと体を、小刻みに震えたり熱いものがアリに垂れる。
横を向いて辛そうにしているのは、Mとして神々しいほど魅惑的だ。
子宮を刺激しようとして、女がもぞもぞ動く。
ただ生贄のようにさしだして見られ続けていることに耐えきれなくなってきたから、小さく喘ぎ始めたのがかわいくて、愛しかったのを覚えている。
そうしてからのことは、今度書こうと思う。