びっくりするほど夕焼けがきれいだった。
自分が小さく、汚れているような気がした。
何をしているんだと、自分をまた責めた。
夕焼けの下の街はビルばかりで、人を押しのけて歩く人がたくさんいた。
なんだかさみしくなり、辛くなったとき、こっちに向かって歩いてくる女性がいた。
弱々しくて、どこかさみしげで、勇気を心の奥から絞りだして、やっとの思いできたのだ。
緊張を隠すように装っていて、それでも覚悟をきめたりんとしたオーラがあった。
もう何年も前の、美雨とのなりそめ。
*今は美雨がいるので体験調教、奴隷募集はしていません。
私は多頭飼いはしない。
自分がマゾなのかわからない だから確かめたいという真剣な思い
何度かメールをした。
自分がMなのか、どうしても確かめたい。
子供がいて、家族を裏切ることはできない、それでも、女としての部分、マゾ性を持てあましている。
真剣な言葉だった。
縛られたり、首輪をかけられたり、無理矢理されないと私は女として燃えない。
誰にもいえないことって、誰だってある。
どうしたらいいかわかならいときだって、ある。
人生で一度だけ、調教されてみたい、思いでになればいい。
単なる性欲のはけ口や出会いサイトのノリの勘違いしているメールも、そのころはあった。
私は男でS男性で、ホストじゃない。
私も過去のステキな出会いを大切にしたいから、いい加減にSMと向き合いたくなかった。
それでも悩んでいたり、真剣な女性がいると知って再会した体験調教だった。
駅で待ち合わせた。
社交辞令の言葉はいらない。
それでも震えていたから、路地に入り、話をした。
写真はとらない、体に傷をつけない、一度だけお願いしたい、自分のわがままは知っている、あなたに私は何もできない、それでもよければ、調教して欲しい。
そう言った。
縛れば縄の後はつく。
鞭で叩けば、赤くなる。
それは数日で消える。
スレンダーで、静かな感じでタイプだったから奴隷にしたかったけど、男としてきちんと向き合いたかったから、そう話して、帰るならここで帰れと言った。
お願いしますと俯いた。
ホテル街を急いで歩いてホテルに入った。
美雨はそういう場所は似合わない。
はじめての首輪
ソファに座ると、隣りに座ったから、目の前に立たせた。
Sとして、毅然と向き合おうとした。
気をつけの姿勢で立たせる。
下着だけになることを命令して、足を組み、腕を組んだ。
ゆっくりと脱がせる。
ささっと脱ぐと、やり直させた。
私を楽しませるために脱ぎなさい。。。
返事、は?。。。
返事をして、ゆっくり、静かに服を体から外していった。
脱いでいく様を眺めながら、私はSとして、語った。
裸になりなさいと命令したのではない。
下着だけと言った。
下着は私が脱がせる。
ひっと喉を鳴らして、それでも、はいと返事をした。
グリーンの上下の下着は、この日のためのものだったのだろう。
逡巡したであろう時間を思う。
家族が寝入った頃、闇の中でひとりですごしていたのだろう。
家族の温もりと、別の自分をどうしていいかわからず、眠れない夜をたくさん過ごしたのだろう。
大切なものはちゃんとわかっていて、それでも、抑えきれないものと葛藤していたのだろう。
下着だけで気をつけの姿勢で目の前に立っている女性は、私のものではない。
私はそのとき、調教するだけの、それも一度だけの男だった。
それでも、真剣だったから、それでいいと感じたし、その女性に何かしてやりたいと思ったのはきれい事じゃない、ほんとにそう感じた。
なんちゃってSMや、ただ怒鳴るだけとか、一方的に縛ったり叩いたり、いきなり無理なことをさせたりとか、悩みのメールや、いろんな話を聞く。
静かで、そっとしていて、少しずつ被虐を与えられ、それがせつなくなって、あまく思うのがSMだと私は思う。
だから単にプレイだけどか、スカトロとか合わない。。。
そっと立っていた。
足下に正座させて、首輪を見せた。
髪をあげさせた。
首輪をそっと廻して、チェーンをかける。
時間をおいて、四つん這いにさせる。
お座りと四つん這いを繰り返させた。
横向きで、下着の尻を六条鞭で叩いた。
はじめてだから、生まれたままの姿になるための心の準備の時間がいる。
ブラジャーの胸を揉み込み、尻を叩き、背骨をさする。
世間に見せていた顔の奥の表情がだんだん現れてくる変化の瞬間ほど、M女がM女らしいときはない。
犬のように首輪をされて、尻を叩かれている自分と、少し前の服を着た自分の対比に戸惑っている。
暴力的なのがSMではない(そういうのもあるようだから、それはそれでいいと思う)。
女の妖艶な部分と子供に対抗した女の子の部分と、自分をさらけだし、それを見られている羞恥の中に、どこかほっとしている。
そんな感じがいい。
打ちながら、これから下着を脱がせること、縛ること、道具で責めることを囁いた。
恥ずかしさと遠慮もあって、控えめだった反応が色を帯びてきた。
喘ぎがせつなそうになり、すねるようになった。
家族にいつも笑顔を向けているのだろう。
人として一生懸命生きているのだろう。
思いやりや愛を大切にしようとしていて、優しい、はかない女性なのだ。
その女性が、首輪でつながれ、鞭で叩かれ、喘いでいる。
これから濡れているか調べると、叩きながら宣言した。
やだやだと首を振っていて、叩きながら追い上げた。
鞭はあまい責めだ。
だんだん体に沁みるように効いてくる。
痛いとかだけじゃない。
強く叩くと子宮に響く。
そして弱く叩くから、もどかしくなる。
喘ぎや反応でわかるから、逆をする。
欲しいと思うとき、弱く打つ。
ほんわりとしたとき、強く叩く。
繰り返し、追い上げる。
そのときだけ自分を制御できなくなって、調べてくださいと言わせた。
立たせて、ブラジャーをとった。
腕で隠そうとした。
「手は体の横。 気をつけ。 返事?」
「‥はい」
親指を腰の横の下着のラインに入れた。
手を止めて、逡巡する様をじっと見る。
美雨も人生を生きていて、それは私も同じだ。
もうひとりの自分と向き合おうとして、それでもためらっていた。
名前を呼んで、見せてごらんと目を合わさせると、目を閉じて、息を吸って、力を抜いた。
すっと降ろした。
片足ずつ抜いて、小さくなったそれを私が持った。
奴隷になったら、それを開いて、あたっていたところをさらして濡れ具合を確かめるけれど、濡れていないと仕置きをするけれど、奴隷じゃないから横に置いた。
叱られた子供のようにうなだれていた。
きれいだなあと思い、いろんな話をしたり、男と女として向き合ってみたいなと思う気持ちを我慢した。
「両手を背中で組みなさい」
「足を開いて」
「もっと」
「腰を少しつきだして」
指を使うと腰が引けるから、平手で尻を叩いた。
内腿をさすりながら、一歩を踏みださせるために強く命じた。
捧げるように足を開いて、つきだしてみせなさい。。。
ひとつずつ、少しずつ、羞恥や被虐やあまずっぱさを共有しながら、そっと次に進んでいくのが調教だ。
柔らかさ、温もり、湿りと喘ぎや表情の変化を確かめながら、きれいだなと私は思った。
つづく
はじめての股縄 お仕置き 鞭