茅ケ崎の海は凪いでいた。
浜昼顔が咲いていた。
江の島が遠くに見えた。
俺はもうすぐ、美雨と式を挙げる。
ふたりだけの、小さな、ささやかな式を挙げる。
籍はまだ入れることはできない。
けど、そんなことはどうでもいい。
ウエディングドレスを着せてやりたい。
ただそれだけだ。。。
美雨は、奴隷になって、人生が変わったという。
一生懸命な毎日
美雨はがんばりやさんだ。
美雨は愛で生きている。
美雨だけが俺についてくる。
こんな俺についてくる。
どこに行くとか、ご飯を食べるとか、いちいちラインしてくる。
それが意地らしくて、俺は癒される。
美雨は一生懸命生きている。
やるべきことをたんたんとこなしている。
美雨は子供の育て方がとってもステキだ。
ほんとうにのびのびと育てている。
元気にはしゃぐ子供のそばで、そっと寄り添い、静かにほほ笑んでいる。
そんな風に、巡りくる時間を、真剣に生きている。
性奴隷という生き方
美雨は奴隷として生きている。
生理の時以外、股縄で生活させている。
だからいつも乾いている。
美雨は剃毛している。
奴隷になったとき、服従の証しとして剃毛した。
大の字に拘束して、剃毛した。
美雨は自慰を禁止されている。
禁止というより、俺が管理している。
いつもは禁止していて、しなさいと命令した時だけ、する。
SMの主と奴隷はプレイメイトではない。
主従関係だ。
それはひとつの恋の形だろう。
SとMであり、ドミナントとサブミッシブのつながりだ。
俺は美雨を、調教、管理、飼育、所有している。
日常も支配している。
調教の時だけが奴隷の時間なのではない。
日常は人として、女として、社会の中で生きている。
周囲には、ごく普通の女性に見えるだろう。
けれど、美雨は、服の下は股縄をしているし、こころにはマゾヒズムがある。
愛で生きる
美雨は奴隷になって変わったという。
誰にもいえず、こころの奥のマゾヒズムを抱え、悶々と過ごしていたという。
解放し、癒し、日常に振り回されながらも、奴隷として人として女として、生きている。
落ち着いたのだろうけれど、俺から見ると、もともと、美雨はステキな女だ。
美雨はこころで生きている。
ほんとうに、周囲の誰もが美雨の人間性を認めているだろう。
美雨はみなに愛されている。
みなに大事にされ、リスペクトされている。
それは、美雨が、愛で接しているからだ。
いつも思うけれど、美雨は愛で生きている。
なんというか、なんにでも真正面から向き合って生きている。
ピュアなマインドで、まっすぐに物事を見ている。
些細なことでも無邪気に喜ぶ。
俺のことで泣いてくれるのは美雨だけだ。
ペットになることで、マインドの奥に風が吹いた。
隠していたものに光があたった。
マゾヒズムを恥じ、責めていたという。
けれど、それに光があたり、風通しがよくなったことで、きちんと向き合えるようになった。
自分のマインドと正面から向き合い、個性だと認め、抱きしめることで、マインドは自らの治癒力でそれを癒した。
滞っていたものが流れ、大いなるものに委ねて生きることができるようになったのだろうと思う。
宇宙のリズムで、宇宙のトーンで生きている。
宇宙の本質は愛だから。
美雨はそんな女だ。
俺の奴隷だ。
俺はもうすぐ、美雨と式を挙げる。
ふたりだけの、小さな、ささやかな式を挙げる。
雲の隙間から落ちる陽の光に、波がきらめいていた。
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ウエディングドレスの調教動画