短い時間の主従だった。
もっと知りたかった。
深くなりたかった。
半分の空想は、私の孤独と、人として女として羽ばたいていけという願いだ。
こうすればよかったとか、こう言えばよかったという悔いだ。
遠距離だったから、思うように調教、飼育、管理、愛することがなかなかできなかった。
もうずいぶん昔のことだ。
仕事が終わり、部屋でひとりがたまらなくて、街に酒を飲みに行った。
別にどうということもなかったけれど、とりあえず孤独はごまかせた。
ほんとうは違うとマインドはわかっていた。
人の中にいると、必要以上にひとりを感じるときもある。
ごまかして、やり過ごそうとしていただけだった。
酔っぱらっていた時、メールがきた。
だれからきたのか、すぐわかった。
”ご主人様 今日は時間ありますか さみしくてメールしてしまいました”
肺の下のあたりが、ぎゅっと締まった。
さやかな、時間、さやかな、空間、さやかな関係性。。。
さやか。。。
待つ女に躾けようとしていた。
一定の距離を保とうとしていたのは、親子ほど年が違ったからだ。
のめり込まないようにしようとしていた。
だけど、夢中になったのは私の方だったのかもしれない。
癒そうとしたけれど、ほんとうに癒せたのは私だったのではないだろうか。
さやかの将来を大切にしたかった。
どこまでもどこまでも、純粋で無邪気だった。
奴隷だったけれど、それはそのときで、いつか私から離れて、M性を開放して自分の人生を生きていくことができると私にはわかっていた。
SMはステキなものだ。
M性というのはある。
そして私はSの男だ。
M女を自分のものにしたい。
だけど、もっと大切なものがある。
それをわかったうえで、SMと向き合うべきだと思う。
どろどろの人生、
後戻りできないことになった女性も見てきた。
命とか、宇宙とか、思いやりとか、心の平安とか、愛とか、自分が他者や宇宙に何ができるのかとか、そっちを大切にできないなら、自分に対して失礼だ。
自分を愛することを少しずつ伝えようとするのが、私の主従関係だ。
それがSMではないという人は、その人なりの思いがあるのだろうからそれでいい。
SMとはもっと身近で、人間臭いものだ。
おたがい、悩みながら、もがきながら、自分に少し傷つきながら、続けていく繊細なものだ。
ただ性欲だけとか、ただ調教されたいだけとか、それはわかる。
それは、今の自分がどうしようもなくて、ただ辛いから、藁にすがる気持ちだからだ。
だけど、ほんとうは、もっと命を輝かせたい、向上したい、しあわせになりたいという心の奥の願望がある。
主従関係は、とても深いものだと私は思う。
奴隷のポーズで命令をただ待つ
どうしようもなく、せつなかったのだろう。
逡巡したのだろう。
マインドの揺れ動きを、主だから私はわかっていた。
その心持ちが、かわいくて。。。
今からいくには遠い。
そのころはZOOMはなくて、スカイプだった。
”いつものポーズで待ちなさい”
少しして、写メが送られてきた。
生まれたままの姿。
正座で足を開いていた。
首輪。
両手は背中で組んでいる。
私に見えるようにスマホを体の前において固定させていた。
かわいくて、はかなくて、すぐにも部屋に戻り、スカイプで調教したかったけれど、しばらくそのままにさせていた。
気持ちがしゃんと立ちあがった。
私にはこの子がいる。
主従として、向き合い、すべてを共有していた。
そのとき、私はその子を支配していた。
所有し、調教、飼育、管理していた。
大人の男として、主として、毅然と向き合っていたけれど、心を揺らしていたのは私の方だったのかもしれない。
私がよしというまで、その姿勢で待ち続けるのが奴隷のつとめだ。
裸で、待ちながら、体は熱く燃えてくる。
自慰を管理していたから、勝手にいくことを許していなかったから、同じ姿勢を保ちながら、体の芯が痺れてくるのを、次の命令があるまで、ただこらえ続ける。
やがて心が落ち着いてきて、体の熱さとのギャップに戸惑う。
それに耐えていると、あま酸っぱくなる。
それがSMだ。
調教だ。
奴隷のためにするのではないけれど、奴隷の心と体を理解しなければ主の資格はない。
ただ縛ったり、怒鳴ったり、そんなものじゃない。
SMはあまく、せつない。
わざとそのままにさせた。
いい子だとハグしたかった。
縛り、虐め、焦らし、かわいがりたかった。
スマホの向こうで、腰をもじもしさせていた。
ちらと画面を見ては、俯いた。
時折、”顔を見せなさい”とメールをすると、体の高ぶりをこらえるように目を閉じたまま顔をさらした。
まつ毛が揺れていた。
時間を味方につけるのが私の調教だ。
しばらくして、”どうなっているか見せてごらん”とメールをした。
スマホの位置を調整して、膝立ちで女を見えるように、足を開いて腰をつきだした。
まだまだ女の子だったけれど、体は女になろうとしていた。
”濡らしていいと言ったっけ?”
”ごめんなさい”
しばらく会っていなかったから、少しのびてきていた。
奴隷になると誓った日から、剃毛していた。
”伸びてきたな”
”ちくちくしていたいです”
”あとで剃ろうな”
”はい、ご主人様”
”部屋に戻るから、準備をして待っていなさい”
”はいご主人様”
それでスマホを切って、部屋に戻った。
従順な奴隷でいることの悦び
いい時間をすごす それは自分に対するギフトだ
孤独、さみしい、辛いのは、ワンネスと離れているからだ。
それは、自分らしい自分ではないからだ。
私は飼い主だったから、心の揺れ動きを手にとるようにわかった。
その人にとって、私との時間は一時的なものだ。
いつか、自分の出会う人がいると感じていたのも、私は全部、何もいわなくてもわかっていた。
頑張ろうとする自分と、もうひとりの自分。
ずっとずっと迷って苦しんできたのだろう。
それは私も同じだったからわかる。
そんな感じは、理屈じゃない。
なんだか、ふっとわかるのだ。
それは主従だったからだ。
玄関を開けた。
瞬間、気持ちが揺らいだ。
自分のことや、私に委ねるその子のことや、いろいろな思いが交錯した。
目を見ると、おたがい、なんだか気恥ずかしかった。
それでも私は飼い主として、その子は、奴隷として向き合おうとした。
目を合わさないようにして、首輪にチェーンをつけると教えた通りに四つん這いになった。
その子の逡巡を思った。
犬のように、玄関でただ主を待つ。
そのことに被虐のあまさを感じるのがM性だ。
服を着て社会で頑張っている自分と、裸で首輪でただ待たされいる自分。
それだけで体が疼いてきて、それでも自分の体は主のものだから、開放は私の許可がないと許していないから、ただ耐える。
焦らされているのだとわかっている。
M性のある女性なら、勝手に体が反応する。
それをこらえようとしたり、自分を責めたり、悶々と過ごす時間。
不思議なことは、体はせつなくどうしようもないのをもてあましている中で、心は落ち着いてくる。
主にただ委ねている、主のための自分、はかない自分。
今はそれを堪能して、いつかそれを超えて羽ばたこうとする自分。
SMとはそういうもので、プレイの内容がどうとかハードだとかソフトだとか、そういうものじゃない。
せつなく、あまい。
私に曳かれて、首輪で裸で歩く自分に小さく酔っていて、この心持ちを、かわいいなと私は思った。
これから鞭で尻を叩かれ、それを数えさせられ、泣かされ、そのあと、よしよしと浮き上がらされ、かわいくMらしく悶えさせられる。
それは主のためにそうさせられる。
縛られ、体を拘束されるとき、心の自由を得ると教えた。
リビングのテーブルに料理が並べてあった。
私がくるのを知って、一生懸命作ったのだろう。
私との時間を待ちわびていたのだろう。
こんなどうしようもない私なのに。。。
リビングの椅子に座る。
いつものように、躾けたとおりに足元にお座りした。
足を開いて、私に見えるようにした。
そこは濡れていて、灯りに反射した。
髪を静かになぞると柔らかった。
手の甲で頬をなでると温かかった。
同じ目線になりたくて、床に胡坐で座った。
恥ずかし気に横を向いたから、顔を見せなさい。。。
私は虐めたくなった。
左手を頭に置いた。
右手の人差し指で女の筋をなぞり、豆をはじいた。
鼻で哭いて、俯いた。
すべて知っている体だった。
Gスポットの少し左。。。
急所を指の腹で押し、廻し、掻いた。
許可なく開放することは許していなかったから、必死に耐えていて、その仕草がはかなかった。
左手であごを支えると、口を少し開いた。
長い長いキスをしながら、私は虐めた。
ひっと口を離そうとするから、キスに集中しなさい。。。
はい、ご主人様と、控えめに、調教されたM女らしく、私の舌の動きに呼応した。
虐めたかったから、指を動かした。
私はその子を全部知っていて、支配していて、管理していて、所有して飼育して、愛していた。
うぅとうめいて、背骨を反らせた。
”いっていいと誰が言った?”
わざとらしく聞いて、ごめんなさいと繰り返させて、縄を持ってきなさいと伝えると、叱られた子供のように、これから自分を拘束する麻縄をとりにいった。
さやか、頑張れ。。。
北国の雪は、そろそろ降り始めるだろうか。。。
北国では、雪が小さな結晶のまま落ちてくる。。。
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